RADIANの靴修理ブログをご覧の皆様こんにちは。
愛知県豊橋市の靴修理RADIAN 杉浦です。
今回は、イタリアのシューズブランドSTEFANO BRANCHINI(ステファノ・ブランキーニ)の革靴に行った、アッパーの破れ修理をご紹介します。

修理箇所は、かかと側の履き口付近。
編み込みになったアッパーの一部が裂け、履き口まで破損が進んでいました。
今回は裂けた部分だけを小さく補修するのではなく、ある程度大きな革パッチを取り付け、しっかり補強する方法で修理しています。
ステファノ・ブランキーニとは
STEFANO BRANCHINIは、イタリア・ボローニャを拠点とする高級靴ブランドです。
創業者のステファノ・ブランキーニ氏は靴職人の家庭に生まれ、若い頃から靴作りを学び、a.testoniでデザインや靴製造に携わった経歴を持っています。
その後、自身のブランドや靴工房を立ち上げ、ノルベジェーゼ製法や独特なスクエアトゥ、アンティーク感のある仕上げなど、クラシックな紳士靴に少しクセを加えたようなデザインで知られるようになりました。

1990年代後半から2000年代頃のイタリア靴ブームを知っている方なら、ブランド名に懐かしさを感じる方もいるかもしれません。
当時はロングノーズやスクエアトゥ、アンティーク仕上げなど、イタリア靴らしい色気のあるデザインが人気を集めており、ステファノ・ブランキーニもそうした時代を代表するブランドのひとつとして知られていました。

履き口付近の編み込みレザーが裂けていました
今回ご相談いただいたのは、かかと側の履き口付近に発生した破れです。

写真を見ると、革そのものだけではなく、編み込み部分が崩れながら裂けているのが分かります。

こうした部分は、靴を履くときや脱ぐときにも力が掛かりやすく、一度裂け始めると徐々に破損範囲が広がることがあります。
革の破れは「何もなかったように」元には戻せません
革靴のアッパー修理について相談をいただいた際、最初にお伝えしていることがあります。
革が完全に裂れてしまった場合、洋服の「かけつぎ」のように、破れる前とまったく同じ状態へ戻すことは基本的にできません。
革そのものが切れている以上、裂けた部分を縫い合わせるだけでは十分な強度が出ない場合があります。
そのため、状態に応じて裏側や表側から革を当て、縫い付けることで物理的に補強する方法を取ります。
つまり、こうした修理では「修理跡を完全に消すこと」よりも「再び履ける強度を作ること」が重要になります。
小さなパッチではなく、大きく補強する方法を選択
今回、実際に裂けていたのは片足のみでした。
破れた箇所だけを覆うように、小さな革パッチを取り付ける方法も考えられます。
ただ、お客様からは、
「せっかく修理するなら応急処置ではなく、しっかり補強してこれからも履きたい」
とのご要望をいただきました。
そこで今回は、裂けている部分だけを小さく覆うのではなく、かかと側の広い範囲を覆うように大きな革パッチを取り付ける仕様にしました。
片足だけではなく、両足を補強
もうひとつ今回の修理でポイントになるのが、左右両方へ加工したことです。
裂けが発生していたのは片足だけでしたが、反対側も同じ構造、同じくらい履き込まれた状態です。
片足に破れが出たということは、もう片方にも今後似たような負荷が掛かる可能性があります。
そこで、反対側は予防補強として同じ革パッチを取り付けました。
また、片足だけ大きな革を取り付けると左右で見た目が大きく変わってしまうため、デザイン上のバランスという意味でも両足加工の方が自然です。
修理後|かかと周りを大きな革パッチで補強

完成した状態がこちらです。
かかとの上部を覆うように、大きな革パーツを取り付けました。
破れた部分だけをピンポイントで修理した形ではないので、かなりしっかりとした補強になっています。

あえて修理したことを見せる仕上がり
今回の修理は、修理箇所を完全に隠す方法ではありません。
むしろ、革を大きく追加しているため、修理前とはデザインが変わっています。
ただし、左右同じ形で革を取り付けることで、修理跡というよりも最初からそういうデザインだったようなバランスを意識しています。

修理跡を無理に隠そうとするのではなく、必要な補強をしっかり行い、それをデザインとして成立させる。
こういう考え方も、革靴修理では大切だと思います。
修理すると何が変わる?
裂けた部分への負担を分散できる
大きな革パッチを取り付けることで、裂けた部分だけに力が集中しにくくなります。
小さな補修よりも広い範囲へ力を逃がせるため、今回のように強度を重視したい場合に適した方法です。
反対側の予防にもなる
まだ破れていない側にも同じ加工を行ったことで、履き口周辺を予防的に補強しています。
左右の見た目を揃えられる
片足だけに大きな革パッチを付けるよりも、両足へ同じ加工を行うことで見た目にも統一感が出ます。

今回の修理内容と料金
- 靴:STEFANO BRANCHINI
- 症状:かかと側の履き口付近の革破れ
- 修理方法:大きな革パッチを取り付けて縫製補強
- 加工:左右両足
- 目的:破損箇所の補強、反対側の予防補強、左右の見た目を揃える
- 料金:片足3,500円+消費税
- 両足の場合:7,000円+消費税
革の状態や破損範囲、取り付ける革の大きさによって修理方法や料金が変わる場合があります。
革が破れても、すぐに諦めなくて大丈夫です
革が裂れてしまうと、「もう履けないかな」と思われる方も多いと思います。
確かに、新品のように何もなかった状態へ戻すことが難しいケースはあります。
でも、見た目が多少変わっても良ければ、革を追加してしっかり補強し、また履ける状態へ戻せることもあります。
今回のステファノ・ブランキーニも、まさにそんな修理でした。
大切なのは、破れを無理に隠すことではなく、これからも履き続けるために必要な強度を作ることだと思います。
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