こんにちは。豊橋店のRADIAN杉浦です。
「レッドウィングなど、グッドイヤーウェルト製法の靴の中に入っているコルクって、何のために入っているの?」 今回はこの疑問にお答えしようと思います。
結論から言うと、コルクにはちゃんと意味があります。順番に見ていきましょう。
グッドイヤーウェルト製法とは(かんたんおさらい)
グッドイヤーウェルト製法は、革靴の代表的な製法のひとつ。
アッパー(甲革)と靴底の間に「ウェルト」っていう細い帯状のパーツを縫い付けて、そのウェルトを介してソールを固定します。
工程が多くて手間がかかる分、修理を前提としたかなり丈夫な作りになっているのが特徴なんですよね。
ウェルトの役割
ウェルトはアッパーと本底をつなぐ「橋渡し役」。
この構造のおかげで、ソールがすり減っても本体を傷めずに交換(リソール)できるんです。長く履き続けられる靴が多いのは、このウェルト構造のおかげと言っても過言じゃありません。
中物(フィラー)の位置
ウェルトを縫い付けたあと、靴の中底とアッパーの間にはどうしても空間ができてしまいます。
この空間を埋めるために詰められるのが「中物(フィラー)」
この中物としてコルクが使われているのは、グッドイヤーウェルト製法の靴に限られていて
接着剤でソールを貼り付けるセメンテッド製法やマッケイ製法、ステッチダウン製法など
他の製法では基本的に靴の中底とアッパーの間の空間はないか
もしくはそれほど大きな空間ができないのでコルクの中物を使うことは多くありません
コルクが入っている本当の理由
「クッション性のため」ってイメージを持たれがちなんですが、修理の現場で靴の中をずっと見てきた立場からすると、それは正直2番目以降の理由なんですよね。
コルクが選ばれる本当の理由、大きく3つあります。
1番の理由は「隙間を埋める」こと
グッドイヤーウェルト製法は、ウェルトを縫い付ける構造上、中底とアッパーの間にどうしても隙間ができてしまいます。
この隙間を埋める材料として、軽くて加工しやすいコルクが選ばれているんです。クッション性がよく語られますが、現場の感覚としては「詰めやすくて軽い」っていうのが一番の採用理由。クッション性はあくまで、その結果ついてくる副次的なメリットっていう位置づけなんです。
履くほど足に馴染む「モールド機能」
コルクの中物は、たとえるなら低反発枕みたいなもの。
履き始めは硬く感じても、体温と体重によって少しずつ沈み込んで、履く人の足の形にじわじわと型取られていきます。同じサイズの靴でも、履き込んだ靴ほどしっくりくるのは、このモールド機能のおかげなんです。
実際、リソール前のレッドウィング(アイリッシュセッターやベックマンなど)をお預かりしていると、長年よく履き込まれたブーツのコルクは、色がやや黒ずんで変色していることがあります。それだけ足の汗や体重をじっくり吸い込んで、その方の足の形に沈み込んできた証拠でもあるんですよね。
通気性・吸湿性
コルクは無数の気泡を含んだ天然素材で、湿気を吸収して発散する性質があります。
足は1日にコップ1杯分近くの汗をかくとも言われますが、コルクがその湿気を調整してくれることで、靴の中を快適な状態に保ちやすくなるんです。
コルク以外の中物との違い
フィラーにはコルク以外の素材が使われることもあります。それぞれの特徴を知ると、コルクの良さがより分かりやすくなりますよ。
フェルトやラバーとの比較
フェルトは安価でクッション性もありますが、コルクほど足の形に沈み込む「モールド性」は高くありません。
ラバー系の中物は耐久性に優れる一方、通気性ではコルクに劣る傾向があります。天然コルクは、フィット感・通気性・軽さのバランスに優れているからこそ、上質な革靴で長く選ばれ続けているんですね。
最後に
「コルクって何のために入っているの?」その答えは、まず一番に「隙間を埋めるため」、そして結果として「足に馴染ませる」「快適さを保つ」という役割も担っている、ということでした。
靴の内部にあるため普段お客様の目に触れることはありませんが、こうした構造を知っておくと、靴底交換のタイミングを考えるときにも役立つと思います。
RADIANでは、レッドウィングをはじめとするグッドイヤーウェルト製法のブーツのソール交換の際、このコルクもきちんと詰め直しをしています。ソールだけを新しくして終わりではなく、内部のコルクの状態まで見て仕上げることが、履き心地を長く保つポイントだと考えているからです。
靴の中で何が起きているか気になった方は、お気軽にご相談くださいね。
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