ウェルト交換なしでダブルステッチ|ジョンロフグレン×Vibram700ブラウン

ウェルトを交換しなくても、ダブルステッチ仕上げはできないか。

今回のジョンロフグレンでは、そこがカスタムの出発点でした。

一般的にシングルステッチで仕上げられたブーツをダブルステッチ仕上げに変更するカスタムをする場合、2本目のステッチを縫う場所がないので幅の広いウェルトへ交換して縫い代を確保する方法があります。ただ今回は、お客様から「純正のストームウェルトはそのまま活かしたい」というご希望がありました。

そこでウェルト自体は交換せず、ミッドソール側の張り出しを通常より大きく取り、2本目のステッチを入れるための幅を作る方法で仕上げています。

ジョンロフグレン エンジニアブーツ カスタム前
カスタム前のジョンロフグレン。純正のストームウェルトを残して作業します。
目次

交換前は比較的すっきりしたソールまわり

修理前は、レザーソールとヒールを組み合わせた比較的すっきりした足元でした。

今回のご依頼は、単純に摩耗したソールを元通りにする修理ではありません。

アウトソールをVibram#700へ変更し、ダブルミッドソール、革積み上げ3枚のヒール、そしてダブルステッチを組み合わせて、足元の存在感を大きく変えるカスタムです。

ジョンロフグレン エンジニアブーツ カスタム前 正面
カスタム前の正面。完成後はコバまわりの印象が大きく変わります。
ジョンロフグレン エンジニアブーツ 修理前のレザーソール
修理前の靴底です。

純正ストームウェルトを残したまま、どうやって2本縫うか

今回いちばん考えたのが、どうやってダブルステッチのための縫い代を確保するか。ウェルトの交換なしでです。



そこで今回は、ミッドソールを通常より外側へ張り出させた状態で削り、ダブルステッチ用の縫い代を確保しました。

ウェルトを幅広いものへ交換したわけではありません。元のストームウェルトをそのまま使い、その外側にミッドソールの張り出しを作ることで、2本のステッチが見える構成にしています。


ジョンロフグレン 純正ストームウェルトを残したダブルステッチ仕上げ
完成後。純正ストームウェルトを残したまま、ミッドソールを張り出させてダブルステッチを入れています。

張り出しは大きくなる。でも今回は、それが狙い

この方法には、見た目の変化があります。

2本目のステッチを入れる幅を確保するため、通常の仕上げよりコバの張り出しが大きくなります。

すっきりと細く見せたい場合には向かない方法ですが、今回はむしろこの張り出しがカスタムのポイントとなっています。

ストームウェルト根元のポコッと立ち上がった形状と、外側へ張り出したミッドソール、そこへ2本並ぶ白いステッチ。

完成後はかなり存在感のある足元になっています。見方によっては、ホワイツなどのヘリテージ系ワークブーツを思わせるようなボリューム感もあります。

ジョンロフグレン ダブルステッチカスタム 正面
正面から見ると、コバの張り出しと2本の白いステッチがよく分かります。
ジョンロフグレン ダブルステッチ カスタム後のコバ
純正ストームウェルトの立ち上がりと、張り出したミッドソールが重なってボリュームのある仕上がりです。

Vibram#700ブラウンとダブルミッドソール

アウトソールにはVibram#700のブラウンを使用しました。

底面は比較的フラットなパターンですが、ソール本体にはしっかり厚みがあります。今回はさらにダブルミッドソールを組み合わせているため、側面から見たときにも厚みが出ています。

黒いアッパーに対して、ブラウンのコバとアウトソールを合わせることで、真っ黒にまとめるよりもレザー部分の積層が見えやすくなりました。

ジョンロフグレン Vibram700ブラウン ダブルミッドソール
Vibram#700ブラウンとダブルミッドソール。側面から見ても厚みのある構成です。

ヒールは革3枚、カーブをつけて仕上げ

ヒールは革を3枚積み上げ、後方へ向かってカーブをつけて仕上げています。

前側の大きく張り出したコバに対して、ヒールまで直線的に重たく見せるのではなく、後方にカーブを作ることで横から見たシルエットを整えました。

ダブルミッドソール、ダブルステッチ、3枚積み上げヒールと、純正時よりかなりボリュームのある仕様です。そのぶん重量や屈曲性は純正時と変わります。

軽さやスマートさを優先するカスタムではありません。今回は見た目の存在感を重視した仕様です。

ジョンロフグレン 革積み上げ3枚 ヒールカーブ仕上げ
革3枚を積み上げたヒール。後方へカーブをつけて仕上げています。
ジョンロフグレン Vibram700ブラウン カスタム後の靴底
Vibram#700ブラウンで仕上げた靴底です。

今回の料金と納期

今回のカスタム費用:36,000円+消費税
納期目安:2〜3ヶ月ほど

納期は繁忙期など時期によって変わります。また、靴の状態や仕様によって作業内容・料金が変わる場合があります。

今回のように「このパーツは残したい」「今の構造を活かしながら見た目を変えたい」といったカスタムも、靴の状態を確認しながら方法を考えます。

修理事例やカスタムの様子は、Instagram・YouTubeでも発信しています。
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