前側だけ直すか、全部交換するか|ベックマン9014のVibram #100ソール交換

お客様から最初に届いたのは、タンクハーフソールがボロボロに崩れたベックマンの写真でした。

前側のラバーは加水分解が進み、突起が欠け、触れるとさらに崩れてしまう状態です。

この症状だけを直すなら、加水分解した前側だけを交換する方法もあります。

しかし今回のお客様が希望されていたのは、元の構成へ戻す修理ではありませんでした。

Vibram #100、3mmレザーミッドソール、革を積み上げたヒールを使い、靴底全体を作り替えるオールソール交換です。

修理費用の目安は28,000円+消費税、納期の目安は約2か月です。

レッドウィング ベックマン9014 加水分解したタンクハーフソールの修理前
お客様からLINEで送っていただいた修理前の写真。前側のタンクハーフソールが加水分解し、突起が崩れています。
目次

完成イメージが最初から決まっていたご相談

今回のご相談は、LINEから始まりました。

お客様からは修理前の状態が分かる写真に加えて、希望する完成イメージの写真も送っていただいています。

使用するソールだけでなく、レザーミッドソールの厚み、ヒールの積み上げ方、コバの色まで、ご希望の仕様が具体的に決まっていました。

そのため、今回は「前側だけ直すか、全部交換するか」を一から迷って決めた案件ではありません。

最初からオールソール交換を前提に、ご希望の仕上がりで施工できるかを確認し、費用と納期をご案内しました。

内容にご了承いただいたあと、ブーツを当店まで送っていただき、正式なご注文となっています。

レッドウィング ベックマン9014 Vibram100ソール交換後を上から見た全体
上方から見た完成後。左右のコバ幅と白い出し縫いの仕上がりが確認できます。

加水分解していても、必ず全部交換するわけではありません

ベックマン9014では、前側のタンクハーフソールだけが加水分解し、かかとや革底はまだ使えるという状態がよく見られます。

そのような場合は、傷んだ前側だけを取り除き、新しいハーフソールへ交換する方法があります。

かかとの減りが少なく、革底も使用できる状態で、純正に近い構成を残したい場合には、部分修理の方が費用も抑えられます。

ベックマン9014の加水分解を、Vibram #2333で前側だけ修理した事例はこちらで、部分交換の内容と仕上がりをご覧いただけます。

一方で、かかとも大きく減っている場合や、靴底全体が傷んでいる場合、今回のように見た目を大きく変えたい場合には、オールソール交換が選択肢になります。

レッドウィング ベックマン9014 Vibram100ソール交換後の正面
正面から見ると、Vibram #100の深いラグと、ライトブラウンのコバがはっきり見えます。

今回はソール構成そのものを作り替えました

今回の仕様は、すべてお客様からご指定いただいた内容です。

  • アウトソール:Vibram #100 ブラック
  • ミッドソール:3mmレザーミッドソール
  • ヒールベース:革2枚積み上げ
  • ヒール形状:後方へ丸みを持たせた仕上げ
  • コバ:ライトブラウン

前側だけを交換する修理では、基本的に元の革底やヒール構成を残します。

それに対してオールソール交換では、アウトソール、ミッドソール、ヒールの高さ、コバの色まで組み替えられます。

同じベックマン9014でも、靴底の厚みとヒールのバランスが変わることで、横から見た印象は大きく変わります。

レッドウィング ベックマン9014 Vibram100ソール交換後の斜め前
斜め前から見た完成後。純正仕様より厚みとヒール高が増し、足元の存在感が強くなりました。

Vibram #100だけで、この見た目になるわけではありません

Vibram #100は、深い凹凸を持つラバーソールです。

底面のパターンだけを見ると、かなり無骨でボリュームのある印象があります。

ただし、今回の仕上がりを決めているのはVibram #100だけではありません。

3mmのレザーミッドソールを加え、ヒールに革を2枚積み上げ、コバをライトブラウンで仕上げたことで、黒いソールの間に革の層が見える構成になっています。

ベックマン9014のアッパーには、ブラックのフェザーストーンレザーが使われています。

黒いアッパーと黒いVibram #100の間にライトブラウンを入れることで、靴底の輪郭が埋もれず、横から見た層がはっきりしました。

ベックマン9014に取り付けたVibram100ソールの底面
Vibram #100の底面。深いラグパターンと、周囲を縫い付けた白い糸が確認できます。

ゴツく見えても、Vibram #100は案外曲がります

Vibram #100は、見た目だけを見ると分厚く、硬くて歩きにくそうに感じるかもしれません。

しかし、底面全体が同じ厚みの一枚板になっているわけではありません。

突起の高い部分と、その間の薄い部分で構成されているため、見た目から想像するほど前足部の曲がりが悪いソールではありません。

実際に履いた方からも、外見ほど硬さを感じなかったという声があります。

ただし、今回のようにレザーミッドソールを加えると、純正仕様より厚みと重量は増します。

履き心地はソール単体ではなく、ミッドソールやヒールを含めた構成全体で変わると考えた方がよいでしょう。

レッドウィング ベックマン9014 Vibram100と積み上げヒールを横から見た仕上がり
真横から見ると、3mmレザーミッドソールとヒールの積み上げによる高さの変化が分かります。

履き心地で最も変わるのはヒールの高さ

純正仕様との違いを感じやすいのは、Vibram #100の凹凸よりもヒールの高さです。

今回はヒールベースに革を2枚積み上げているため、純正のベックマンよりもかかとの位置が高くなっています。

見た目はヒールが持ち上がり、横から見たシルエットが引き締まります。

一方で、足が前方へ傾く角度も変わるため、純正のベックマンの履き心地に慣れている方は、最初に違和感を覚える場合があります。

エンジニアブーツほど極端に高いヒールではないため、ヒールのあるブーツを何足か履いている方であれば、特別扱いにくい高さではないと思います。

ただし、純正と同じ足の角度を残したい方には、今回と同じ積み上げ枚数をおすすめしない場合があります。

ベックマン9014のライトブラウンのコバと白い出し縫いの拡大
つま先周辺のアップ。黒いアッパーとソールの間に、ライトブラウンのレザーミッドソールと白い出し縫いが見えます。

前側だけの修理と、全部交換する場合の違い

前側だけの交換が向いている場合

  • 加水分解しているのが前側だけ
  • かかとの減りが少ない
  • 革底をまだ使用できる
  • 純正に近い見た目を残したい
  • 修理費用を抑えたい

オールソール交換が向いている場合

  • かかとも大きく減っている
  • 靴底全体を長く使用している
  • アウトソールの種類を変えたい
  • レザーミッドソールを追加したい
  • ヒールの高さや形を変えたい
  • コバの色を含めて印象を大きく変えたい

タンクハーフソールだけの交換と、オールソール交換では、修理内容によって費用が倍近く違う場合があります。

傷んだ部分だけを直すのか、費用をかけて構成全体を作り替えるのかは、予算と納期、修理後にどのように履きたいかを含めて決める必要があります。

ベックマン9014の革積み上げヒールの拡大
ヒール周辺のアップ。革の積み上げによって、純正仕様よりも高さを出しています。

オールソール交換をおすすめしない場合

靴底全体を交換すれば、さまざまな仕様へ変更できます。

しかし、変更できる範囲が広いからといって、すべてのベックマンにオールソール交換をおすすめするわけではありません。

前側だけを交換すれば問題なく履ける状態で、純正の見た目や履き心地を残したい場合には、部分修理の方が目的に合っています。

また、今回の構成では純正よりも重量、厚み、ヒールの高さが増します。

軽さを優先する方、低いヒールを好む方、現在のシルエットを変えたくない方には、同じ仕様をおすすめしないことがあります。

オールソール交換後に、簡単に純正仕様へ戻せるわけではありません。

ヒールの高さ、ミッドソールの厚み、コバの色は、注文前に完成写真を見ながら確認しておくことが大切です。

レッドウィング ベックマン9014 Vibram100オールソール交換後の全体
ソール全体を組み替えた完成後。ライトブラウンのコバと高くなったヒールが、横から見た印象を大きく変えています。

費用と納期の目安

今回の仕様での費用目安は、28,000円+消費税です。

納期の目安は約2か月となります。

この金額には、Vibram #100、3mmレザーミッドソール、革2枚の積み上げヒール、ヒールの成形、コバの着色を含みます。

ただし、近年は為替や原油価格などの影響により、ソール、革、接着剤などの資材価格が短期間で変更されることがあります。

この記事に記載した金額は目安です。ご注文時期や靴の状態によって、費用が変わる場合があります。

また、ウェルトや靴底内部に追加修理が必要な場合には、状態を確認し、作業内容と追加費用をご説明したうえで進めます。

ベックマンのソールが崩れてきた場合、前側だけを直す方法と、今回のように全体を組み替える方法のどちらも選択肢になります。

費用を抑える修理が常に正解でも、すべて交換する方が常に良いわけでもありません。

現在の靴底の状態と、修理後に求める見た目や履き心地を確認しながら、交換範囲を決めるのがよいと思います。

修理事例やカスタムの様子は、Instagram・YouTubeでも発信しています。
Instagram:https://www.instagram.com/radian572958
YouTube:https://www.youtube.com/@RADIANSHOES

RADIAN豊橋の宅配靴修理

まずは写真を送るだけ

靴の知識がなくてもOK。「これって直りますか?」からで大丈夫です。

愛知県豊橋市の店ですが、全国から宅配で修理をお受けしています。

お近くにお住まいの方は予約不要でお気軽にご来店ください。

1

LINEで写真を送る

気になる箇所を撮るだけ

2

概算見積りが届く

職人が診断してご返信

3

発送 or 店頭へ

全国どこからでも対応

LINEで無料相談する

宅配修理の送り方・料金・納期をくわしく見る →


費用や納期の目安は為替や資材価格の変動にあわせて随時変更させて頂いております。
最新の費用や納期は店頭までお問い合わせください。

お問い合わせ先

靴修理RADIAN豊橋
〒440-0893 愛知県豊橋市札木町106-1
Mail : info@radian-mail.com
Tel : 0532-52-2868

定休日 : 水曜と木曜日
営業時間 : 10:00 – 17:00

その他年末年始など臨時のお休みがある場合あります。ホームページなどで営業日ご確認の上ご来店ください

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次