「前側のソールが崩れてきた。かかとも同じように加水分解するのではないか」
今回お預かりしたレッドウィング ベックマン9014は、ベックマンでよく見られるソールの加水分解について調べたうえで、RADIANへお持ち込みいただいた一足です。
結論からお伝えすると、今回はソール全体を交換する必要はありませんでした。
加水分解していた前側のハーフソール部分だけを取り除き、Vibram #2333へ交換しています。
修理費用の目安は13,000円+消費税、納期の目安は2〜3週間ほどです。

ベックマン9014の前側で起きていた加水分解
持ち込み時のベックマン9014は、前側に取り付けられているタンク型のハーフソールが劣化していました。
表面が少しすり減ったという状態ではなく、ソールのブロック部分が崩れ、細かな破片が取れてしまっています。
この症状は、歩いて削れたことだけが原因ではありません。
ベックマンの旧品番にあたる9011・9013・9014・9016は、前側のハーフソールにポリウレタンを含む素材が使われていると言われています。ポリウレタンは経年で劣化する性質があり、これが今回のような崩れにつながります。
素材そのものが劣化する現象のため、接着し直したり、部分的に補修したりしても長く使うことは難しい状態です。


お手持ちのベックマンは品番で見分けられます
加水分解の可能性があるとされているのは、旧品番のベックマンです。
- 旧品番(9011・9013・9014・9016)……ソールにポリウレタンを含む
- 新品番(9411・9413・9414・9416)……ソールの素材がラバーに変更されている
マイナーチェンジ後の新品番は素材が見直されているため、同じ現象は起きないとされています。ご自身のベックマンが心配な方は、まず品番を確認してみてください。
履かずに保管していると進みやすくなります
加水分解は、空気中の水分がソールに吸収されていき、一定量を超えたところでひび割れたり崩れたりする現象です。
履いていれば吸収された水分は放出されるため溜まりにくいのですが、履かないまま保管が続くと吸収ばかりが進み、劣化が起こりやすくなると言われています。
しばらく履いていないベックマンをお持ちの方は、下ろす前に一度ソールの状態を見ておくと安心です。
かかとまで交換する必要はありませんでした
お客様が心配されていたのは、前側だけではありません。
「かかとの部分も、いずれ同じように加水分解するのではないか」というご相談がありました。
しかし、このベックマンに使われている前側のハーフソールと、かかとのトップリフトは同じ素材ではありません。
今回のかかと部分は、前側に起きていたような加水分解を心配する素材ではなく、摩耗もそれほど進んでいませんでした。
加水分解したベックマンの修理では、前側とあわせてかかとも交換する事例が多く見られます。ただ、今回のように状態を確認したうえで、まだ使えるかかとを残せる場合もあります。
そのため、加水分解した前側だけを修理する方法をご提案しました。
ソール全体を交換すれば見た目の構成を大きく変えることもできますが、その分だけ修理範囲と費用も増えます。
今回はカスタムが目的ではなく、傷んだ部分を直して引き続き履くことが目的です。残せる部分は残し、必要な範囲に絞って修理するのが適切だと判断しました。
古いソールと縫い糸をすべて取り除く
修理では、まず加水分解した古いタンクハーフソールを取り除きます。
ベックマンのハーフソールは、接着されているだけではなく、革底と一緒に縫い付けられています。
そのため、ソールを剥がすだけでなく、以前縫われていた糸も一本ずつ取り除き、新しいソールを取り付けられる状態に整えます。

古い糸が残ったままでは、新しい縫い目をきれいに通すことができません。
表からは見えにくい工程ですが、新しく取り付けるソールを安定させるために必要な作業です。
かなり前の動画となりますが、概ねこんな感じに作業させていただいております
Vibram #2333をラピッドEミシンで縫い付け
新しいハーフソールには、Vibram #2333を使用しました。
元のタンクソールに近い凹凸のあるパターンを持ち、ベックマンのワークブーツらしい雰囲気を残しながら交換できるソールです。
素材はラバーのため、ポリウレタンのような加水分解の心配はありません。次に交換が必要になるのは、履いて摩耗したときです。
今回はVibram #2333を接着したあと、ラピッドEミシンを使って革底と一緒に縫い付けています。
接着だけで仕上げるのではなく、縫いを加えることで、歩行時に力がかかる前側をしっかり固定します。


ソール全体を変えず、元のベックマンらしさを残す
今回の修理では、革底の土踏まず部分とかかとをそのまま残しています。
前側だけをVibram #2333へ交換したため、ベックマン9014が持つ革底とラバーを組み合わせた構成は大きく変わっていません。
オールソール交換に比べて変更範囲が少なく、履き慣れた靴の雰囲気を残しやすいことが今回の修理方法のメリットです。



靴底全体の交換修理ならこんな感じにもできます
今回の記事では、元通りに修理することを解説していますが
靴底を全部剥がして交換する、そーる交換修理なら以下の記事のようなカスタムも可能です。合わせてご検討ください


前側だけを修理する場合のメリットと注意点
今回のように前側だけを修理する方法には、次のようなメリットがあります。
- 加水分解した部分だけを交換できる
- まだ使えるかかとや革底を残せる
- ベックマン本来のソール構成を大きく変えずに済む
- オールソール交換より修理範囲を抑えられる
一方で、すべてのベックマンが前側だけの交換で直せるわけではありません。
革底の摩耗が大きい場合や、かかとまで減っている場合、ソール内部まで傷みが進んでいる場合には、オールソール交換をご案内することがあります。
また、前側だけを交換する修理では、土踏まずやかかとなど既存部分の使用感は残ります。靴底全体を新しくしたい場合や、ソールの仕様を大きく変更したい場合は、別の修理方法が向いています。
ベックマンのソールが崩れてきたら、かかとも含めて状態を確認します
ソールの一部がボロボロと崩れてくると、「靴底をすべて交換しなければならないのでは」と心配される方も少なくありません。
しかし、今回のベックマン9014のように、加水分解した前側だけを交換し、まだ使える部分を残せることもあります。
RADIANでは、傷んでいる箇所だけでなく、かかとの摩耗や革底の状態も確認し、どこまで交換する必要があるのかをご案内しています。
修理費用の目安は13,000円+消費税、納期の目安は2〜3週間ほどです。
靴の状態や以前の修理歴によって作業内容が変わるため、実際の費用と納期は靴を確認してからのお見積もりとなります。
修理事例やカスタムの様子は、Instagram・YouTubeでも発信しています。
Instagram:https://www.instagram.com/radian572958
YouTube:https://www.youtube.com/@RADIANSHOES
RADIAN豊橋の宅配靴修理
まずは写真を送るだけ
靴の知識がなくてもOK。「これって直りますか?」からで大丈夫です。
愛知県豊橋市の店ですが、全国から宅配で修理をお受けしています。
お近くにお住まいの方は予約不要でお気軽にご来店ください。
LINEで写真を送る
気になる箇所を撮るだけ
概算見積りが届く
職人が診断してご返信
発送 or 店頭へ
全国どこからでも対応
費用や納期の目安は為替や資材価格の変動にあわせて随時変更させて頂いております。
最新の費用や納期は店頭までお問い合わせください。
お問い合わせ先
靴修理RADIAN豊橋
〒440-0893 愛知県豊橋市札木町106-1
Mail : info@radian-mail.com
Tel : 0532-52-2868
定休日 : 水曜と木曜日
営業時間 : 10:00 – 17:00
その他年末年始など臨時のお休みがある場合あります。ホームページなどで営業日ご確認の上ご来店ください
